少子化対策
「子育て支援は社会全体の責任だ」
日本の将来は大丈夫なのか。予想をはるかに超えて進む少子化に、多くの人が不安を感じていることだろう。
一人の女性が生涯に産む子どもの数は年々低下し、ついに1.33にまで落ち込んだ。世界的にみても、極めて低い水準である。
若い世代が、結婚を敬遠し、子どもを産み控える社会は健全とは言い難い。
少子化に何とか歯止めをかけようと、政府も総合的な対策を打ち出した。
従来の仕事と子育ての両立支援から一歩踏み出し、男性を含めた働き方の見直しや、専業主婦も対象にした子育て支援などの充実を掲げている。
盛りだくさんの中身だが、メニューは総花的で、目新しさに欠ける。とはいえ少子化は、社会慣習や国民意識など複雑な要因が絡み合った結果であり、対策も一筋縄ではいかない。
特効薬がない以上、「あの手この手」を、着実に実行していくしかない。国、地域、企業がこぞって、子育てを支援していくことが、何より重要である。
少子化の背景に、仕事優先の働き方が指摘されて久しい。これまでも長時間労働の見直しや、休みが取りにくい職場環境の改善が言われてきたが、かけ声倒れに終わっている。
今回の対策では、男女別の育児休業取得率に数値目標を設け、わずか0・4%の男性の取得率を10%、56%の女性の取得率を80%に引き上げる。
着眼点はいいが、あくまで努力目標に過ぎない。休暇が取りにくい職場の雰囲気が変わらない限り、画餅(がべい)に終わる。個々の企業が努力するのは当然だが、日本経団連など経済団体も率先して、条件整備に取り組むべきである。
内閣府の世論調査によると、「子育てが楽しい」と感じる人は半数を割っている。それだけ、子育てを負担に思う人が増えているわけだ。
とりわけ、重過ぎる教育費など経済的な負担を軽減する必要がある。奨学金制度の大幅な拡充は、学生など若い世代の自立を促すことにもつながる。子ども連れの家族に対する割引料金のサービスなどが、もっとあってもいい。公営住宅への優先入居も検討すべきだ。
子育ては、次代の担い手を育成する重要な役割を担っている。だが、それにふさわしい敬意は払われてこなかった。
若い女性の間では「産み損」という言葉さえ、ささやかれている。教育の現場で子育ての意義をきちんと教え、赤ちゃんと触れ合う機会も広げてほしい。
子どもの養育に責任を持つのは、親だけでなく、社会全体であるべきだ。
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