髪色(かみいろ)の心理学(しんりがく)

(いろ)と心(こころ)の動き(うごき)には 密接(みっせつ)な関係(かんけい)があります。近頃(ちかごろ)では、 「オレンジが好き(すき)な人は陽気(ようき)で親しみ(したしみ)やすい 性格(せいかく)で・・・」と、 色(いろ)の好み(このみ)で性格(せいかく)を 診断(しんだん)したりもします。これほど色(いろ)があふれている 社会(しゃかい)で、そんなことを言(い)われてもピンとこないと いう人もいるかもしれません。しかし、色(いろ)が私(わたし)たちの 意識(いしき)を超え(こえ)た部分(ぶぶん)に 働き(はたらき)かけているとしたらどうでしょうか。色(いろ) は私(わたし)たちの意識(いしき)の奥(おく)に ある無意識(むいしき)や神経(しんけい)に直接(ちょくせつ) 働き(はたらき)かけているのです。

(いろ)にはそれぞれ人間(にんげん)に及(およ) ぼす効果(こうか)があり、ひとつひとつに特徴的(とくちょうてき)な 「意味(いみ)」があります。たとえば、「赤(あか)」にはアドレ ナリンを分泌(ぶんぴつ)させ、心臓(しんぞう)の鼓動 (こどう)を速く(はやく)するという効果(こうか)が あります。そのため、「赤(あか)」は「行動力(こうどうりょく)」 「自己(じこ)顕示欲(けんじよく)」を示(しめ)す 色(いろ)だと考え(かんがえ)られています。マルキズムやナチスも 人々(ひとびと)の心(こころ)を奮い(ふるい)(た)たせるためにこの色(いろ)を活用(かつよう) していました。これ には科学的(かがくてき)な根拠(こんきょ)もあるのです。 様々(さまざま)な色彩(しきさい)に対(たい)して 脳細胞(のうさいぼう)が興奮(こうふん)するまでの反応 (はんのう)時間(じかん)を測定(そくてい)した 研究(けんきゅう)がありま す。その結果(けっか)、赤(あか)や黄色(きいろ)は 反応(はんのう)時間(じかん)が早く(はやく)、 それに対(たい)して緑(みどり)や灰色(はいいろ)は 反応(はんのう)時間(じかん)が遅い(おそい)ことが 分(わ)かっています。この ように色(いろ)が人間(にんげん)に及(およ)ぼす 効果(こうか)や意味(いみ)を考察(こうさつ)する 学問(がくもん)は古く(ふるく)からありました。すでにプラトン(B.C.427-347)の 『ティマ イオス』には色(いろ)が人間(にんげん)に及(およ)ぼす 寒暖(かんだん)の効果(こうか)に関(かん)する 記述(きじゅつ)があります。

また、ゲーテ(1749-1832)は非常に目立ちやすい色として黄・青・赤をあげていますが、まさにこれらは交通信号に 用いられている色なのです。

アメリカでは女性の四割がブロンドに染めるといわれています。それは、白い肌と同様に金髪が純真さと若さを連想 させるからです。金髪は光を連想させ、太陽の象徴のすべてを持つということで、古来から西洋では美と結びつけら れてきました。二〇世紀、重化学工業の時代になっても、金髪はメタルやプラスチックのイメージと結びつき、人々を 魅了しているのです。

数年前まで、日本で「茶髪・金髪」は社会への反抗を喚起させる髪色でした。しかし、現在では髪をカラーリングする ことが一般的なファッションの一部になっています。とくに女性では黒から明るい茶色に髪色を変えている人が多い ようです。「不安」「陰鬱」などを意味する「黒」から、「安らぎ」と「くつろぎ」を意味する「茶色」へ。やはり、髪色の選択 と時代のニーズの間には何らかの関連性があるのかもしれません。
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